欲望におもむくままの日がつづいている。

なんというか押さえきれない。

変な男に会いにいったり、まともな男に諭されたり。

 

夜10時を過ぎると、帰りたくて仕方のない編集長は

ずいぶんといい加減で、それでいて本音を話すような人になる。

その日あったむかついたことやら、残業している人をからかうやら

多分一日言いたくて我慢していたことを言うのだと思う

そんなとこに原稿を持ってたら、にやっとした顔で

「見てほしいの?」といわれ、何だか誤変換をしてしまう

 

編集室の先輩はいつもぬぼーっとしている。

やる気のある押しの弱い人でいることに長けていて

とにかく仕事に隙がないし、メールは完璧

守りが固過ぎて攻めようという気が起きないタイプ

エロさをみじんも感じさせないくせに

「僕は妻一筋だからね」と予防線を張ってきたのでなんだかいらっとした

 

日曜日に掲示板で会った人のところに会いにいく

なんでも黙って縛ってくれるのだという

1時間くらい遅刻したので、怒れる男がくるかと思いきや

目の優しそうな穏やかな人でなんだか寒気

しかも余計なことをぺらぺらと喋り

「目を見て」と迫ってきて、一種の吐き気すら催した

 

『トリドリ恋歌』宇仁田ゆみ白泉社

恋人を交換したら案外しっくりいった話と虫好きと変人好きカップルの話。

絵が重くないのと、話が軽いのとでブルボンのプチシリーズみたいな感じ。

 

私は好きな人の前でカラオケをすると下手になる

という悪癖があり、好きかどうかをそれで判断する

調子の外れた歌を聞かせて、恥ずかしいところを見せる

 

トリドリ恋歌