GWの休みが明け、また会社が始まった。

5月1日からクールビズが始まっていたらしく、

社内の男性陣は半分がノーネクタイ。ジャケットは大体が着ていた。

 

うちの編集長は、忘れていた組。

髪の毛は切ってさっぱりしているのに、ネクタイを首まで閉めているあたりが

暑がりでめんどくさがりな性格をよく表している気がする。

人から指摘されて外せば良いのに外さない。

めんどくさがりな頑固だが、人当たりが良いから恐ろしい。

「ははは」と笑うのに、口の穴の奥が見えない。

 

 

支社長は、GW前からクールビズを楽しみにしていたそうで

早速襟元をあけての出社。

立場があるからからジャケットは着ている。

女性陣の冗談も、笑って聞き流すどころか、どんどん突っ込む。

西からやってきた人らしさを醸し出す。

首の穴から、「人」が出てきたような感じ。

 

ちょっとした用事があって、よその編集長に電話をかける。

文字だと恐ろしく女々しい人なのに、声はなんとも男らしい。

入社したばかりの頃は怖いと思っていたくらいの怒っているような話し方。

話を伝えると、どうでもいいことだったらしく、適当に返される。

流れていく返事に、自分もだんだんなんのために電話したのかわからなくなって

この人はネクタイを外してきたのかと、受話器の穴を見つめながら考えた。

 

耳の穴が、袖の穴が、心の穴が数mmずつ、反応して開いて行く感触。

 

『女の穴』 ふみふみこリュウコミックス)

 

任務だからとセックスする、女の形をした宇宙人に、穴を見いだす先生の話。

途方もなく受け止めてくれる女っていうのは穴に見えるらしい。

 

穴は開いているのか、それとも開けられたのか。

開きたくて開いたのだし、開けたくて開けたのだし

開けようとする力が働いたから開いたのだろう。